「ありがとうございます……」

急に褒められ、イヅナの中に恥ずかしいという気持ちが何故か込み上げてくる。それを誤魔化すかのように、ギルベルトの頭に花冠を乗せた。

「ギルベルトさんも似合ってますよ」

「ありがとう」

穏やかな時間が過ぎている。このワンシーンを見れば、誰もがそう思うだろう。だが、アレス騎士団は突然平穏な日常から裏側の世界へ引き戻されることもあるのだ。

木の陰から突如、ウサギが飛び出してくる。二人は突然のことに驚いたが、そのウサギはチェルシーの式神だった。何やら紙を咥えている。

「イヅナ、別荘に戻らなきゃいけないみたいだ」

紙に書かれてある文を読んだギルベルトは、ため息をつきながら言った。



紙の内容は、すぐに別荘に戻ってくるようにというものだった。二人が別荘のリビングに入ると、全員がそこに集まっている。

「イヅナ、ギルベルトさんと二人で何をしていたの?」

何故か不安そうな顔を見せるヴィンセントに首を傾げつつ、イヅナは「散歩してただけよ」と返した。