ここにいても、ずっと考え続けてしまうだけだと思い、イヅナは「はい」と頷き、ギルベルトと共に豊かな自然が広がる外へと出る。

「足元、整備されてないところもたぶんあるから」

外に出ると、ギルベルトに手を差し出され、イヅナは「ありがとうございます」と言いながら恐る恐るギルベルトの大きな手に自分の手を持っていく。二人は手を繋ぎ、歩き出した。

「ギルベルトさんの手、大きいですね」

「イヅナの手は小さいね。指とかすごく華奢だから、折れないか心配だよ」

「折れませんよ〜。ギルベルトさんの指も男の人にしては、華奢な方じゃないですか?」

繋がれた手を見て笑うイヅナを、ギルベルトは顔を赤くしながら見つめる。その目はとても優しく、口元には自然と笑みがあった。

二人が歩いて行くのは、湖でも川でもなく、木々が広がる森の奥深くだった。木々が生い茂っているせいで薄暗いところもあり、イヅナの手は自然とギュッとギルベルトの手を握り返す。

「昼間でもちょっと薄暗いんですね。一人だったら絶対に迷っています」

「僕がいるから大丈夫だよ。それに、もしもイヅナがどこかで迷っても、すぐに助けに行くから」