イヅナが顔を上げれば、ヴィンセントが宝飾品たちを指差している。イヅナは「う〜ん」と言いながら宝石で彩られたものを見ていく。

ルビーの指輪、サファイヤのイヤリング、エメラルドのブレスレット、シトリンのアンクレット、トルマリンの髪飾り、アメジストのブローチなど、たくさんの宝石がアクセサリーにされている。一ついくらするのだろうとイヅナが思った時、あるものが目に止まる。それは、ダイヤモンドのネックレスだった。

「このネックレス……」

イヅナが呟いた時、襖が勢いよく開いて「やあ皆さん、お揃いで」とどこかムッとするような口調でムサシが部屋に入ってくる。

「自分が勝手に招待して、誘拐さながらにここに連れて来たんだろうが」

ツヤは怒りを隠そうともせず、前面に出しながら言う。ムサシはそれを気にせずにイヅナたちの前に座り、笑った。

「どうだい?あの巨人の調査。早く退治してくれるんだろ?」

「あんなのをちょっと調べて一日だけで倒せるわけないだろう。何の計画もなしに突撃したら、こちらが全滅だ。まあ、戦闘経験のないボンボンにはわからんだろうなぁ」