激しい地面の揺れに立っていられず、イヅナたちは倒れ込んでしまう。一度倒れると立ち上がることができず、イヅナたちは何もできず、ただ巨人が暴れているのを見ていることしかできない。

「何やってんだ!早く立って戦えよ!」

ムサシが叫んでいるが、揺れのせいで全く動かない。あちこちから悲鳴が聞こえ、ものが倒れる音や壊れる音が響く。

ふと、イヅナの目に地面にうずくまる若い女性の姿が見えた。震える彼女の頭上にある太い木の枝が折れ、落下していく。

(守らなきゃ!)

足を踏ん張り、イヅナは薙刀を手に女性の元へ急ぐ。そして、頭上に落ちてきた木の枝を斬る。

「大丈夫ですか?」

「あ、ありがとうございます!」

女性は涙を流しながらお礼を言い、イヅナは守れたことにホッとしつつ、巨人の様子を見る。

巨人は暴れ回った後、ゆっくりと姿を消していった。刹那に激しい揺れは治まり、安否確認を行う声と泣き声があちこちから聞こえてくる。

「お前たち、無事か!?」