あまりの嫌味と悪口に、イヅナはショックを受けて何も言えなくなってしまう。だが、レオナードは怒りを露わにして男性を睨み付ける。

「アレス騎士団は、みんな命懸けで戦ってる!何も知らない人間が勝手なこと言ってんじゃねぇよ!」

「何だと、このクソガキ!俺に対してそんな口の利き方をするとは」

男性がレオナードの胸ぐらを掴み、イヅナはレオナードが殴られるのではと思い、「やめてください!」と顔を真っ青にしながら叫ぶ。だがその直後、男性が「いってぇ!何すんだ、このクソアマ!」と言いながら顔を歪める。

「……あたしの部下に手ェ出そうとすんじゃねぇよ。このクソが!」

ツヤが男性の手を掴み、思い切り捻ったらしい。男性が悲鳴を上げたことで、それまで空気と化していた運転手が「大丈夫ですか、お坊ちゃま!」と言いながら車から降りてくる。

「はあ?お坊ちゃま?」

顔を顰めるレオナードに対し、ヴィンセントが「地主が協力してるってツヤさんが言っただろ。地主はこの村で一番の権力者」と説明する。