あまりの騒音にイヅナたちは耳を塞ぐ。すると、視界の端に黒い大きな車が止まっているのが見えた。あの車がクラクションを鳴らしたようだ。

「今回の任務では、この村の地主が協力をしてくれているらしい。迎えの車だろうな」

ツヤがそう言い、イヅナたちはこれ以上待たせてはいけないと、荷物を手に車の元へと急ぐ。車の中には、四十代くらいの黒いスーツを着た運転手と、高そうな着物を着た二十代後半ほどの男性がいる。

男性はイヅナたちと目が合うと車から降り、「西洋人は仕事を真面目にしないって聞いたことはあるけど、本当なんですね〜」と開口一番、耳を疑う言葉を吐き捨てるように言う。

「どういうことですか?」

ムッとした表情でヴィンセントが訊ねると、「そのまんまですけど」と男性は続ける。

「西洋人は人生の半分は遊んで暮らせるんでしょう?だから、仕事に命懸けで取り組まずにダラダラして終われるんだ。羨ましいねぇ〜。あなたたちの前にここに来た人も、ちょっと怪我しただけですぐ帰れて。いいですね〜」