「傷つけてごめん」
「っ⋯」
「泣かせてごめん」
「千鶴、さんっ⋯」
親に決められた婚約者同士だったあたし達。
だけど出会ったのはそんな事全く関係ない場所だった。
婚約者とか、相手が凄い人だとかそんな事関係なくお互いに惹かれた。
好きになった。
「雪乃の全てが好きだ。遠慮がちな所も、芯が強いところも、素直な所も、優しく笑うところも、一緒にいると楽しいんだ」
「っ⋯」
「隣にいてくれるだけで落ち着くんだ」
「っ⋯」
今のあたしは千鶴さんに抱き締められて甘い言葉を囁かれてきっと真っ赤だろう。
でもとんでもなく幸せ。
幸せ。