最悪行けないと思っていたライブに、足を踏み入れることができるのだから、それだけでも満足なのに最高の席を用意してくれたのだから、まさに天にも登る気持ちだ。


 それから私は満足するまでそのチケットを拝み続け、当日はどんな服装で行こうかとか、どのグッズを持って行き、何を買おうかとかひたすら考え続けていた。


 だけど、楽しいことを考えている時間はあっという間で、気づいた時には結構な時間が過ぎていた。



「はっ……ごめん! こんな時間……?」



 顔を上げてみると、とてもリラックスした顔が目に入る。



「スゥースゥー……」


「ね、寝てる!?」



 目を閉じて、穏やかに寝るその顔はとても幸せそうだ。

 私が放ったらかしすぎて飽きてしまったのだろう。だけど、だけど――。



「はわゎゎ――っ! こんなに無防備な寝顔が……っ」



 どうしてこんなに無防備な姿を見せてくれるの? まさかのご褒美……!?