それはまさか……? さっきお願いしたものでは? 今ここで目の前で歌ってくれるの!? レイヤくんの歌声が独り占めできる?


 どうしよう。ウキウキが止まらない。今日は私の感情の変動が激しい。だけどこんなの自分でコントロール出来るはずがないのだから仕方がないとも思う。



「だから、はいっこれ」



 きっと私の目はキラキラと輝いていたのだろう。怜也くんは苦笑いしながらも私に1枚の細長い紙を渡してきた。


 だけど私は、今歌ってくれないのだとわかり一気にテンションが落ちる。自分でも顔から表情が消えたのが分かった。



「もう、さとみさんそんな顔しないでよ。それ、よく見てみて?」



 そう促されて、渡された紙をよく見てみる。そこに書かれている文字は私が取れなかったライブの名前が書いてある。


 ――えっ? これは……。


 日付は今度の日曜日。倍率がすごくて自力で当てることができずに、転売から探すしかないか……と思っていたものだ。


 まさか、これを……?