光さんが卒業するときに、次期生徒会長を千隼くんにしたいと申し出があったのだそう。
これまでの生徒会長は、みんな亜麗朱出身者。
だから、そこに慧流座出身者が選ばれるのは異例中の異例中…!
でも光さんは、同じ皇蘭中学の生徒であれば、派閥なんて関係なしに、ふさわしい人間が生徒会長になるべきだと言って、千隼くんを推薦してくれたのだ。
光さん直々に、次期生徒会長に任命された千隼くん。
しかし千隼くんは、その申し出を断った…!
「俺が守りたいのは咲姫であって、学校じゃねぇ」
…と。
だけど、生徒会長の任命には拒否権がなく、千隼くんは仕方なく引き受けることに。
だから、ほとんど副会長であるカオルくん任せ。
ヒロトくんは議長、わたしは書記として、やる気のない生徒会長を陰で支えている。
部屋が別々になってしまったから、千隼くんに会えるのは学校だけ。
そんな寂しがり屋なわたしのために、千隼くんは時間があれば部屋に呼んでくれた。
無口でクールな生徒会長。
そして、慧流座の最強総長。
周りからは、そう思われている千隼くん。
だけど、2人きりになると甘い一面を見せるのは、みんなには知られていないこと。
わたしだけが知る、千隼くんの顔だ。
「咲姫、おいで」
わたしを部屋へ招き入れると、待ってましたと言わんばかりに唇と奪う。
「新入生の男共が、咲姫のこと噂してた」
「…えっ!よくない噂…!?」
「…いや。3年の先輩がかわいいって」
そう言って、ムスッとした表情の千隼くんが、わたしを抱きかかえる。
そして、連れてこられたのはベッドの上。
「正直、…焼いたっ。年下相手だったとしても、ぜってぇ咲姫は渡さねぇって」
千隼くんはわたしを押し倒すと、これでもかってほどに無数のキスを降らせてきた。
強くて逞しくて、周囲から信頼されている千隼くん。
でも、わたしのことになると余裕なく迫ってくる。
このキスだって、新入生へのヤキモチだ。
『俺だけを見ろ』と受け取れる甘いキスに、わたしはとろけそうなくらい溺れてしまう。
「ずっとずっと咲姫だけを愛してる。一生かけて護ってやるから、絶対俺のそばから離れるな」
千隼くんは愛の誓いを囁くと、腕の中にそっとわたしを包み込んだのだった。
イケメン総長は、姫を一途に護りたい【完】
『イケメン総長は、姫を一途に護りたい』を最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
久しぶりに、最初から最後まで楽しく書くことができました。
毎日筆が乗って、執筆開始から3週間ほどで書き上げることができました♡!
今回は、前から書きたいと思っていたプロットをジュニア向けにアレンジしました。
初めての中学生設定だったのですが、発言や行動はもはや中学生ではないなと思いながら書いていました。笑
この小説で、わたしの中でとくにお気に入りなのは、暴走族の名前です。
『慧流座』は、響きがかっこよく。
『亜麗朱』は、元レディースっぽい雰囲気が漂う漢字をあてて。
『蛇覇』は、悪者だとわかる響きで。
そして千隼くんは、最強総長でありつつ、咲姫だけを一途に想う、とにかくかっこいいヒーローにしてみました!
先程も述べた通り、『イケメン総長は、姫を一途に護りたい』=『イケ姫』は、あるプロットをジュニア向けに書いたものになります。
なので、今回はジュニア向けに中学生バージョンで書いてみましたが、次はジュニア向けでない高校生設定で、元のプロット通りに小説を書いてみようと思います!
内容と設定は少し異なりますが、もし『イケ姫』のように、イケメン男子に護られるストーリーにキュンとされた方は、ぜひ次の作品も読んでいただけるとうれしいです♡
中小路かほ