『好き』だと純太に言えないでいるうちに、3月に突入し、中学卒業まであと2週間となった。


「ああ、もう。自分で自分が嫌になる……」


私が、教室の自分の机に突っ伏していると。


「どうしたの? 若葉。この世の終わりみたいな顔して」

「莉奈!」


クラスメイトで友達の、鈴谷(すずや) 莉奈(りな)が声をかけてきた。


莉奈はモデルみたいに背が高くて、細くて可愛い。一緒に遊びに行ったとき、街でスカウトされたこともある。


「私も、莉奈みたいに可愛かったらなぁ……」

「どうしたの? 急にそんなこと言って。
まぁ若葉のことだから、どうせまた河辺くんのことだろうけど」

「いや。そうなんだけどさ……」


私は、声のボリュームを落とす。


「純太に、なかなか好きって言えなくて」