ドクンドクンと、心臓が波打つ。


私は純太のことが……「好き」って言わなくちゃ。


そう思った途端に緊張してきた。


「すっ、」

「す……?」


3年間通ったこの思い出のある通学路で、青空と色鮮やかな紅梅の木の下で、純太への想いを伝えるのも良いかもしれない。

突然、私はそのような思いに駆られたのだけど……。


「あの……すっ、スイーツが食べたいなぁ」

「は? スイーツ?!」


しまった。スイーツって、何を言ってるの私!!


「いきなり何を言うのかと思えば。若葉、お前学校行く途中にスイーツって!」

「だって、そこにコンビニがあるから。新作スイーツが食べたいなって思っちゃったの」


私は、コンビニのほうを咄嗟に指さす。


すぐそばのコンビニには、半分に割られたシュークリームから、とろりとカスタードクリームが流れ出ている写真のポスターが貼られている。

そのポスターには【シュークリーム リニューアル!!】との文字が。


うぅ。我ながら、苦しい言い訳になってしまった。


「もう腹減ったのか? 朝飯食ったんじゃねぇのかよ。学校行かなきゃならないのに、若葉お前って奴は……」


一度スマホに目を落とした純太が、繋いだままだった私の手をぐいぐい引っ張っていく。


「ちょっ、純太……どこへ行くの!?」

「そんなの、決まってんだろ」