でもそれだって、人が死ぬ原理を理解して、自分の身を守る為だって言ってたんだ。




「本当に残念だよ。可愛がってた義妹(いもうと)が、悪い子になって見つかるなんてね。何も知らずに騙されていたなら、もう千化を庇う理由はないだろう?」


「ちがう……騙されて、なんて……っ」


「そう主張するならそれでもいいけど。何にせよ、全部吐いてもらうよ? 殺し屋氷菊(ひょうぎく)




お兄様の声が、冷たくなる。

顔を上げれば、底冷えするような、冷徹な笑みを浮かべたお兄様……捜査官、來樺院(らいかいん)(うしお)がそこにいた。



違和感は、あったんだ。

昔の記憶を思い出した時から。


だって、お父様やお母様……幼い頃周りにいたみんなは、無償の愛を私にくれた。


ボスがくれたのは、条件つきの愛。

まるで、そう……私を飼い慣らすような。



――私が見てきたボスは、偽りだったの?