『う〜寒い…』

まだ冬とわ言えない11月。

『おい、咲鼻水垂れてんぞ』

と、言いながらあたし
の頭を叩くのは幼なじみの
拓矢。

サッカー部で気さくな
拓矢はよくモテる。


『たっ垂れてないし!!バカ!!』

なんて憎たらしい
言葉を拓矢に吐きながら
ずかずかと拓矢より
先を歩く。


付き合ってる訳でもないのに
朝は毎日一緒に登校
してくれる拓矢。




そんなあなたはみんなから
人気であたしなんかより
ぜんぜん輝いてて…


でもそんなあなたが
あたしは大好きです。






クラスが違うあたし達は
毎日下駄箱で別れる。

『じゃあな』

『うん。バイバイ』



拓矢と別れてとぼとぼと
歩き教室に入る。

『おはよう』

と、あたしに真っ先に
挨拶してくれたのは
親友のあさみちゃん。

スラッとしてて
勉強もできて美人のあさみちゃん


あたしとは全部正反対。


『あさみちゃん、おはよー』






『何か今日咲、元気ないねー?拓矢くんと何かあった?』


『んなっ////!?』


あさみちゃん鋭い…

『あさみちゃん鋭いね。』

『咲が分かり易いのよ。で、何があったの?』


『いやあ〜…特に何かあった訳じゃないんだけど拓矢見てると自分が情けなくなっちゃうの。拓矢はキラキラしてて、明るくて、あたしは拓矢にとってただの幼なじみなのかなあ…って』

『じゃあ早く告んなよ』

『はっ!?無理無理!!』


あたしあさみちゃん
みたいに可愛くないし
ましてや今更告白なんて…


『あのね〜咲!!トロトロしてると拓矢くん他の人に取られちゃうよ!!』

『それはやだあ〜泣』


『じゃあ今日の放課後でも気持ちぶつけておいで』

『うっうん…』


うー…ほんとであたし
今日言っちゃうの!?笑

でも拓矢モテてるのは事実。


他の人に取られるのも
時間の問題。


そんな事を1日中考えてたら
いつのまにか放課後になっていた。







はっ!!もうみんな帰ってる!!


あたし考え込み過ぎ。


でもうだうだしてても
仕方ない。

よし!帰ったら拓矢の家に行こう。



帰る準備をして教室を出ようとした。


すると

『咲さんっ。』


誰かに呼び止められた。


振り向くとそこには
同じクラスの安田くん。


『安田くん。どうしたの?』


今教室にはあたしと安田くん2人っきり。


『あのっ。入学した時からずっと咲さんの事が好きでした。つき合って下さい。』


えぇーー!?

これは世間で言う告白ですか!?笑


安田くんは野球部のエース。

人気者でいい人だけど
あたしにわやっぱり…

何だか急に拓矢の顔が見たくなって

『あのー…安田くん。ごっごめんなさい。』

それだけ安田くんに
伝えて足早にその場を離れた。







走って廊下の角を曲がろとした時


ドンッ!!!!!!!


誰かにぶつかってしまい
あたしはその場に座り込んだ。


『いたた…』


『おい。咲大丈夫か!?』


聞き覚えのある声がして
あたしは顔を上げた。

するとそこには拓矢と
可愛らしい女の子。


ズキッと自分でも胸が
苦しくなったのが分かった。


隣の女の子は誰?

彼女?


涙がこぼれそうに
なったけど必死でこらえた。


『咲?』

何も言わないあたしを
不思議に思って声をかけて
くれる拓矢。


でも今拓矢の顔を見ると
きっと泣いちゃう。


あたしは『バイバイ』
とだけ小さな声で言って
走って拓矢の元を去った。






あたしは泣きながら必死に走った。

周りの目を気にせずに。


拓矢…やっぱりあたしは
ただの幼なじみ?

誰よりも近くで拓矢を
見てきた。

拓矢を1番知ってるのは
あたしだと思ってきた
けどそれはあたしの勘違い?

ねえ…

きっとあたしは拓矢の
事想い続ける。

彼女という存在がいるとしても。


影で拓矢の幸せを
祈るぐらいならいいでしょ?