由利くんが寝転がる横で正座して、キリキリとする下腹を押さえていると、彼が下からじっとわたしのことを見てきた。
少し垂れた大きな目。ダークブラウンの由利くんの瞳は、男の子なのに羨ましくなるくらいにキラキラとしていて、わけもなくドキリとする。
顔立ちが整っているだけに、由利くんに真顔で見つめられたらドキドキするし、少し怖くもある。
「な、に……?」
ドキドキしながら訊ねると、由利くんがお腹を押さえているわたしの手首をおもむろにつかんできた。
触れた指先が思いのほか冷たくて、肩がびくりと跳ねる。
その次の瞬間、由利くんがわたしを思いきり引っ張った。
「青葉も寝な」
ごろんと仰向けに倒れたわたしの耳に、由利くんの声が届く。
無表情でじっと見てくるから怒っているのかと思ったのに、すぐそばで聞こえてきた由利くんの声は案外柔らかくて優しかった。
それに、彼がわたしの名前を呼んだことにも驚いた。