ついわたしもそのひとりなんです、と言いそうになった。

来栖先輩のような人なら、わたしのこともしっかりと受け止めてくれるような気がした。

わたしが中学時代の友達を除いて誰にも自分の素性を明かさなかったのは、差別が怖かったというのが一番。

すぐに施設へと隔離されるとはいえ、周囲にそういう目で見られる瞬間も間違いなくある。

能力者には悪い人もたくさんいる。

国にはなにも言わずに、自分の力を使って犯罪を行う人が。

だから能力者に対する国民感情は必ずしもいいとは言えない。

わたしに攻撃するような力がなくても、能力者という事実だけで、悪い人だと決めつけられることもある。

「来栖先輩のような考えを持つ人は珍しいですよね」

「そうだね。この国の人間は嫌なことから目をそらす傾向があるからね」

「なにかきっかけとかあったんですか?」