「知ってる?魔法使いは人権が制限されているんだ。国家にとって重要な存在だからね、その力を認められた場合、本人の意思には関係なく国の管理下に置かれてしまう」
もちろん、知っている。
多額の報酬があるぶん、住まいや交遊関係などはすべて国の意見を聞かなければならないということも。
魔法使いーー能力者にはプライベートやプライバシーといったものがなく、国内旅行すら自由にはできない。
「それだけ国の安全保障に重要だから、ですよね」
能力は人それぞれだけれど、個人で軍隊にも匹敵するような力を持っている人もいる。
そういう人たちを野放しにしておくと国の存続にも関わる、という主張は納得できたから、わたしはたいして疑問にも思わなかったのだけれど、来栖先輩は違うようだった。
「でも、それっておかしいんだよね。彼らだって好きでそう生まれた訳じゃない。なのに生まれながらにして犯罪者だと決めつけられてしまっているようなものなんだ。しかも世間はそれをすんなりと受け入れてしまっている。これって、どう考えてもおかしいんだ。ぼくはこういう社会を変えないといけないと思っている」
もちろん、知っている。
多額の報酬があるぶん、住まいや交遊関係などはすべて国の意見を聞かなければならないということも。
魔法使いーー能力者にはプライベートやプライバシーといったものがなく、国内旅行すら自由にはできない。
「それだけ国の安全保障に重要だから、ですよね」
能力は人それぞれだけれど、個人で軍隊にも匹敵するような力を持っている人もいる。
そういう人たちを野放しにしておくと国の存続にも関わる、という主張は納得できたから、わたしはたいして疑問にも思わなかったのだけれど、来栖先輩は違うようだった。
「でも、それっておかしいんだよね。彼らだって好きでそう生まれた訳じゃない。なのに生まれながらにして犯罪者だと決めつけられてしまっているようなものなんだ。しかも世間はそれをすんなりと受け入れてしまっている。これって、どう考えてもおかしいんだ。ぼくはこういう社会を変えないといけないと思っている」