そんなわたしの気持ちが伝わったのか、来栖先輩は少し困ったような感じで、

「もしかして、どこか体調が悪いとか?お昼も全然食べてないし」

「いえ、そんなことないです」

「なら、ぼくがなにか変なことをしたとか?こうして女性とデートするなんてはじめてのことだから、気づかないうちに失礼なこととかしてたかも」

わたしはなるべく自然な感じの笑みを浮かべた。

「気にしないでください。もともとこんな感じなんです」

「そう?」

「それより、来栖先輩って官僚を目指していると言いましたよね。叶えたい具体的な政策とかあるとも言ってましたけど、それってなんなんですか?」

無理矢理話題を変えると、来栖先輩は真剣な顔つきになった。

「ぼくがやりたいのは、魔法使いの待遇改善かな」

「え」

魔法使いは、能力者の別の呼び方。つまりわたしのことでもあるんだけど……。