わたしは内容は理解できてるし、それなりに面白いとも思ったけれど、完全に入り込むことはできていなかった。

どうしても海斗くんへの罪悪感が消えない。

いまどんな気持ちでいるのか、ついそんなふうに考えてしまう。

映画が終わると、ちょうど昼食の時間帯になる。

映画館では軽い飲み物だけだったので、わたしたちは近くのファミレスにより、ご飯を食べることにした。

来栖先輩は痩せぎみだったけれど、その見た目のわりに食欲は旺盛だった。

パスタに炒飯にハンバーグ。

なぜか映画を観るとお腹がすく習慣があるらしい。

物語に入り込んで体力を消耗するからかもしれない、と来栖先輩は言った。

わたしはあまり食欲がなかった。

映画館でジュースを飲んだので、まだそれが残っている感じだった。

とりあえずサラダを頼み、軽くつまむような感じで食事をしていた。

「あのエンディングには納得いかないかな。もっとはっきりとした感情が主人公にないと、成立しないように思うんだけど」

来栖先輩は映画の感想を語っている。