「それがうざいって言ってるの。嫌いな人からしつこくされたらどう思うか、少しは相手の気持ちを考えて行動してよ」

「何か隠していることがあるんじゃないか。誰にも言えないような悩みを抱えているんじゃないか。もしそうなら、ひとりで抱え込まないで、おれに相談をしてほしい」

わたしは大きなため息をついて見せた。

「何様のつもりなの?知ってるでしょ。わたしにはもう、新しい彼氏がいるんだよ。悩みがあるなら、彼に相談するよ」

「……」

「海斗くん、まだわたしに対するなにかの気持ちが残っているなら、これ以上は迷惑をかけないで。海斗くんが近づいてくると、来栖先輩との関係だってダメになるんだよ」

「本当にあの先輩のことが好きなのか」

「もちろんだよ。海斗くんと違って優しくて真面目なの。来栖先輩は官僚を目指してるんだって。この国を変えたいって強い意思を持ってるの。わたしはそういう志に引かれたんだ」

「……」