なら、どうやって警察に通報しないように説得したのか、その苦労を考えると胸がずきりとした痛みを発した。

「警察には行かないの?わたしのことを捕まえたら?」

「なにか理由があるんだろ」

「わかってるんじゃないの?あれはもう、わたしには近づかないでっていう警告。携帯にも一切連絡は寄越さないで」

海斗くんは困ったような顔になった。

「そこまで怒らせること、おれが何かしたか?」

「しつこいからだよ。嫌いだって言ってるのに、いまだにわたしにつきまとっている」

「おれはただ、突然気持ちが変わった理由を知りたいだけなんだ」

「もう忘れたの?言ったよね、海斗くんのことはとくに好きじゃないことに気づいたって」

「それはわかってる。わかってるけど、なんか引っ掛かるんだよ」

それも当然かもしれない。

わたしのなかにもいろいろ迷いがあるし、本当の気持ちというものもよくわからない。

海斗くんへの恋心がどの程度なのか、罪悪感の影響がどのくらいあるのか、いまのわたしにはわからない。