「莉子、あのとき、おまえはおれのことを必死に支えてくれた。それをおれは恋愛感情だと受け止めたんだ。それが勘違いだったってことなのか」

そうだよ、とは言えなかった。

わたしはまだ十代。本当の気持ちに気づくにはまだ時間がかかるのかもしれない。

「わたしは海斗くんのことが好きだよ。でもそれは愛とか恋の類いではないと気づいたの。兄弟愛、みたいなものかな」

「本当に好きな男ができたから、その気持ちに気づいた、ということか」

「そういうこと」

「相手の名前は?同じ学校の生徒なのか?」

「それは……」

そういえば、若葉が生徒会の人がわたしのことを好きだって言ってたっけ。

これを口実にすればいいのかも。

「クラスの友達に紹介されたの。生徒会の人。向こうから好きだって言われて、わたしもその気になっちゃって」

「生徒会の誰なんだ?」

「そんなの、どうでもいいでしょ」