それは最初から期待してないから別に問題はないのだけれど。

でもやっぱり、自分の口から別れを切り出すというのは辛い。

どんなことをしても海斗くんを自分から離さないといけない、それはわかっているけど、割り切ることは簡単じゃない。

「ねぇ、海斗くん。わたしたちが付き合いはじめてから、今年で何年目だっけ?」

「中二の頃からだから、四年目ってことになるよな」

「十代で四年って、すごく続いているほうだよね。大人だったら、結婚してもおかしくないかも」

「莉子は結婚願望はないんだよな」

確かに以前、そう言ったことがある。

わたしはこの力があるから、結婚することにどこか躊躇いがあった。

もし愛する誰かと結婚して、子供が生まれたとき、わたしはきっとその子供を純粋に愛することができない。

自分の力を受け継いでいるかもしれないとつい考えてしまうはず。

能力というのは、必ずしも遺伝で決まるというわけではないらしい。