「どうかしたんですか?」

「ごめん、実は朝からずっと調子が悪くて、どうにか我慢してたんだけれど、限界が来たみたい。わたし、早退するね。顧問の先生には麗から伝えておいて」

とりあえずひとつの目的は達した。

麗はわたしと海斗くんが別れることを知った。

それで充分。

こうした小さなきっかけがあれば、あとで大きな決断の後押しになるから。

「保健室に行きます?」

「ううん、もう帰る。麗、長い話を聞いてくれて、ありがとう、じゃあね」

わたしはそう言い残して、その場を立ち去った。