そもそも、いまのわたしにとって、麗の気持ちというのはあまり重要じゃない。

それよりも大事なことがある。そう、海斗くんを救うということが。

「もしかして余裕?後輩になんか取られないと思ってる?」

「そういうわけじゃないけど」

「男なんてわからないからね、どんなに好かれてる自信があっても、気を緩めないほうがいいよ。まあ、莉子ならすぐに別の人が見つかるとは思うけど」

「わたしなんて全然もてないよ」

「そんなことないよ。わたしの知り合いで莉子のことを好きだって人、いるからね」

そんなの初耳だった。

少なくとも、これまでに告白をされたことなんてない、海斗くん以外からは。

「本当なんだって。生徒会の人。彼氏がいるから伝えなかったけど、もしいまの彼と別れたら紹介してあげるよ」

そんな可能性、ほとんどない。

だってわたしはまた自殺をするから。

もちろん、前回のとは全然ちがう。

わたしはちゃんと自分の仕事をする。

絶望だけに身を任せることはしない。