「うん。麗に聞いてみる」

「楠本麗ね。やっぱり仲がいいの?」

「それは、同じ部活のマネージャーだし」

「あの娘には気をつけたほうがいいんじゃない?」

直接の面識はないけれど、若葉も彼女のことは知っている。

これはわたしから聞いたからとか、実家がお金持ちだからというだけじゃなく、若葉自身が後輩から慕われているから。

若葉は生徒会に所属していて、役割は風紀委員の担当。

うちの高校は進学校だけあって服装なんかにはうるさくて、だから風紀委員も出番が多めになっている。

明るい性格をしている若葉は、下級生に厳しく注意をしても嫌われることがない。

むしろそれがきっかけとなって交遊関係が広がっていく。だからいろんな情報が耳に入ってくる。

「あの娘、莉子の彼氏が好きだって噂聞いたことあるんだよね」

「そうなんだ」

「あれ、驚かないんだ。もしかして雰囲気でなんとなくわかってた?」

「まあね」