「わたしのせいなんだよ、海斗くんが不幸になったのは」

わたしはそう言うと、屋上を取り囲む手すりを乗り越えた。

ギリギリのところに立って、三階ぶんの高さから下を見下ろす。

たくさんの生徒たちが校門の方へと向かっている。

こちらに気づいている人は誰もいない。

「おい、莉子、さっさと戻れよ。危ないだろ!」

「ごめんなさい。そう何度も謝りたかった。わたしは謝りたかったの!」

「いいから、まずはそこから離れるんだ!」

海斗くんがこちらへと腕を伸ばしてくる。

「来ないで!わたしに触れようとしたら、すぐに飛ぶから」

海斗くんは動きを止めた。

どちらにしてもわたしは飛ぶ。

それを海斗くんもわかっているかもしれない。

「ごめんね、海斗くん。本当はもっとちゃんと謝りたかった。すべてを話して、許してもらいたかった」