もちろん、その異変は海斗くんにも伝わっている。

だってわたしたちは恋人同士。毎日近い距離で顔を合わせている。

「……なあ、莉子。お前ここ最近、おかしいよな。なにかあったのか」

「あったよ。ううん、これからある、と言ったほうが正しいのかな」

「どういうことだ?」

海斗くんが眉を寄せる。

ここで言っても、別に構わないのかもしれない。どうせ最後なんだから。

「ねえ、海斗くん。わたしのこと好き?」

わたしは屋上の端に立ち、手すりに触れながら言った。

海斗くんはわたしの横、左側に立った。

「いまさらだな。なにかおれ、誤解されるようなことしたかな」

「そうじゃないけど」

「なら、どうしてそんなことをいまさら確認するんだ?理由、あるんだろ」

やっぱり言えない。口が裂けても。

だって、あのことについても触れないといけなくなるから。