海斗くんは照れ臭そうにしながらも、

「小学生のころだよ」

と言った。

「え、そんなに前なの?」

わたしにとっては意外な答えだった。

せいぜい中学生になってからかな、と考えていたから。

「昨日、観覧車に乗ったときに、思い出したんだよ。莉子の言葉を」

それはわたしたちが小学生のとき。

海斗くんとわたしたちはあの遊園地に遊びに行き、家族で観覧車に乗った。

海斗くんはそのとき、遠くに見えるスタジアムを目にして、「サッカー選手になりたいな」と呟いたという。

まだサッカーははじめていなかったらしいけど、テレビで日本代表の戦いを見て、自分もああいうふうになりたいと思ったらしい。