基本的に高低差がないので、軽装でも十分に楽しむことができる。

「ここにしばらくいようよ。景色を眺めているだけでも結構楽しいから」

「そうか?さすがに何時間も潰せるほどじゃないと思うが」

「このままでいいよ。この時間が、ずっと続けばいい」

海斗くんはそれ以上なにも言わなかった。

わたしの横に立ち、なんの変化もないジオラマのような街を一緒に眺めていた。

「ねぇ、海斗くん、教えてくれない、あのこと」

「あのこと?」

「海斗くんの夢がなんなのか、ということ」

やっぱり、死ぬ前に、これだけは知っておきたかった。

海斗くんのいまの夢を知ることが出来れば、わたしはもっと海斗くんのことが素直に好きになれるような気がしたから。