そして、最後の日。

7月23日の日曜日。

どうにかここまで来ることができた。

いつ死ぬのかという恐怖を乗り越えて、ついにここまでやってきた。

わたしはまず、家を出る前に、両親に別れの挨拶をすることにした。

といっても、隕石のことは口にはできない。

心のなかだけで感謝を伝えるつもりだった。

「どうしたの、莉子?」

わたしは両親を抱き締めた。

ごめんなさい、二人のことは救えなくて、そう謝罪しながら。

でもわたしも行くから。

最初に行って、二人を待ってるから。

いつまでもここにはいられない。

わたしは早足で家を出た。玄関を出た頃には涙が溢れてきた。