ゆっくりとゴンドラが上昇していき、遊園地にいる人々や施設がどんどんと遠ざかっていく。

海斗くんは窓の外をじっと眺めている。

真剣な目付きで、なにかを探そうとしている。

この遊園地は比較的高いところ、山を削り取った丘のような場所に建てられている。

観覧車も一番高いところまでいくと街を一望できるようになる。

ここからの眺めは壮観で、わたしは自分が普段暮らしている街を見下ろしながら、自然と呟いていた。

「こうしてみていると、いろんな悩みもどうでもいいことみたいに思えるよね」

「すべてが小さく見えるからな」

わたしは人差し指を横に倒して、街の上に置いた。