「橘くんが莉子のことを好きなのは間違いないよ。だからこそ、その気持ちにまずは答えるべきだと、わたしは思う。どうせ最後なら、学校を休んで毎日デートするとか、思いきってどこかへ旅行するとかさ、そうして本物の恋人になってから死ぬのも、悪くはないんじゃない?」

本物の恋人という表現は、わたしの胸に鋭いトゲのように突き刺さった。

わたしはなんのために海斗くんを救うのか、それをもっと考えるべきだった。

海斗くんにはわたしよりもずっと長い人生が待っている。

その幸せを、わたしは心の底から願いたい。

義務感で救うのではなく、愛する人を守りたい。

「そうだね。マコの言う通りだと思う」

「莉子なら耐えられるよ。決して途中でくじけたりしない」

マコはそう言ってわたしを抱き締めた。