「それはないんじゃないかな。神様はそこまで意地悪じゃないと思う。ここまで二人の運命を導いてくれたのなら、最後も莉子の望み通りになるような気が、わたしにはする」

もしかしたらわたしたちが中学で出会ったのも、この日のためだったのかもとマコは冗談みたいに言った。

「だといいんだけど」

「ねぇ、莉子、最後に楽しんだら?」

「楽しむ?」

「だってこれが最後かもしれないんだよ。橘くんを救うだけでいいの?死ぬ前に、普通の女の子として生きたいとは思わない?」

「普通って言われても」

「次の予言までの数日間、なにもかも忘れて過ごすっていうのはどう?愛する人のためにすべてをかけてるんだから、それくらい神様も許してくれるよ」