「そんなに急がなくても大丈夫だよ」

「そう?」

「能力者の収容施設は全国各地にあると言われている。確か、都道府県にひとつずつだったかな。いまよりももっと能力者への扱いがひどかったときの名残りで、魔法すらも弾くような強固なシェルターが併設されているらしいの。きっと連れていかれるとしたら、そこだと思う」

なら、前日でも間に合うのかもしれない。

寝坊する危険もあるから、さすがに当日は無理だろうけど。

「あ、でも、わたしの体がいつまで持つかわからないから、やっぱり土曜日のすぐあとのほうがいいのかも。場合によっては自殺も考えないといけないし」

わたしの体力がもし次のループまで持ったら、この計画は破綻したことになる。

海斗くんが政府の組織に連行され、無事にシェルターへの隔離が決まっとしても、また一から作戦を練り直さないといけない。