だってマコが最初にそれを政府に伝えたら、そのあとの予言は効果的ではなくなってしまうから。

少なくとも、近いところに住んでいるのであれば、そのなかの一人から派生したものだと受け止められかねない。

その出発点がマコであると認定されれば、海斗くんは助からなくなる。

「安心して。わたしは国にはなにも言うつもりがないから」

マコはわたしの心を読んだかのようにそう言った。

「どうして?」

「橘くんを救うためなら、むしろ喜んで協力するよ。そんなに助かりたいっていう願望もないからね。それに」

そう言って、マコはわたしの顔をじっと見つめた。

「莉子、あなたはもう、限界が近いんでしょ」

「そんなに、顔色が変?」

わたしは反射的に自分の顔に手で触れてしまった。