家でじっとしているよりも、早めにそれを目にして現実を受け入れたほうが気楽だ、ということだった。

「いいね、そういうの。映画のクライマックスみたいな感じじゃない」

「正解だったと思う。隕石を見たとき、それまでの恐怖が消え去ったから」

「わたしはそういう相手がいないから、羨ましいよ。だからこそ、橘くんを誘惑しようとしたんだろうけどね」

「マコはいまも文芸部なんでしょ。趣味を共有する人なら、簡単に見つけられるんじゃない?」

マコは中学生のころから小説が大好きで、部活は文芸部に所属していた。

中学卒業前に、高校でも文芸部に入るとか言ってたからそう思っていたんだけど、マコは首を振った。

「高校ではなにもやってない。なんかさ、趣味を義務みたいにするのが嫌だなと感じたんだよね。その時間があるなら、自宅で本を読んでたほうがましかなって」

「ふーん」