「とりあえず、中でお話ししましょうか。そのほうがあなたにとっても良いのではないですか」

わたしはそう言って強引に部屋の中へと入った。

加々美さんはそこまで抵抗はしなかった。

やっぱり外で騒がれることを恐れている。

隣は空いているけど、下の階には誰かが住んでいるようだったから、大きな声を出せばその内容が伝わってしまうかもしれない。

「ここに爆弾はないんですか?」

わたしは部屋を見回して言った。

家具家電つきのアパートらしく、室内は小綺麗にまとまっていた。

服のちらかしなどもなく、空気も淀んではいない。

爆弾を作る犯人だから工具なんかがその辺に落ちているのかとも思ったけど、それらしき物体も見当たらない。