「橘くんなら理解してくれるかもよ。彼、優しいからね」

海斗くんはもともと、サッカーのプロを目指していた。

中学生の子はみんなそういうかもしれないけど、海斗くんは人一倍本気だったように思う。

少なくとも、それだけの努力をしていたことをわたしは知っている。

だからこそ、罪悪感は強いし、海斗くんの絶望も手に取るようにわかる。

簡単には許してはくれないということも。

「そういう問題じゃないよ。海斗くんがわたしを好きになったのは、あの事故が遭ったから。わたしの献身さに引かれただけ。それがなかったら、海斗くんはわたしに特別な想いなんて抱かないはずだから」

「そうかな。だって、莉子のことが心配でわざわざ追ってきたんでしょ。どう考えても、その時点で橘くんはあんたのことが好きだったんだよ」