国が能力者のスカウト活動を行っているという話は聞いたことがある。

政府が運営しているホームページには、身近なところに能力者がいた場合に通報できるようなシステムが備わっている。

もしその報告が事実であれば謝礼も出る仕組みとなっている。

「わたしが、能力者?まさか、そんなこと」

ことさら驚いてみる。

わたしの頭の中にはいったい誰がそんなことを告発したのだろうという疑問が渦巻いていた。

「あなたが驚かれるのも無理はありません。すぐには認められない気持ちもわかります。ですが、こちらとしてはできるだけ早い決断をお願いしたいのです」

「そ、そんなことを言われても」

「マスコミなどの報道で誤解されているかもしれませんが、能力者の扱いに関しては心配しなくて結構です。我々は能力者に対し、常に敬意を持った対応をしておりますので」