海斗くんの携帯が鳴っている。

両親かお姉さんが慌てて連絡してきているのかもしれない。

海斗くんが電話に出る様子はない。

あまりの出来事に、呆然としているのかもしれない。

最初の週はもっとしっかりしていた。

わたしがそばにいたから、決して弱い自分を見せようとはしなかった。

「大丈夫だよ、海斗くん」

反応はまったくなかった。

海斗くんはわたしの声が聞こえない距離に立っている。

「あなただけは、わたしが救うから」