「なんのことだ?」

「なんで、もない。それより、海斗くんは、帰っていいよ。両親とでも一緒にいたほうがいい」

「なに言ってるんだよ。一人じゃ不安だろ。おれがずっとそばにいるよ。あのとき、お前がそうしてくれたように」

あのとき。

中学生のときのこと。

事故が起きた、あのとき。

だからこそ、なんだよ、海斗くん。

わたしは、あなたにそばにいてほしくない。

だって、そんな資格なんて、ないんだから。

「ごめんなさい」

「え?」

「本当に、ごめんなさい」

「なに謝ってるんだよ。もしかして、線路に間違って落ちたことか?そんなこと気にする必要ないんだよ」

海斗くんも自殺だってことはわかっているはず。

だってたくさん人がいたし、わたしが電車に乗る理由もないんだから。