平日だから、学生や社会人が多くホームに並んでいる。

たくさんの人が周りにいたほうがむしろ人影に紛れてうまくいくような気がしたから、この時間帯を選んだ。

みんな携帯を見ている。

なにもせずにぼうっと立っているのはわたしだけ。

逆に目立つかもしれないけど、それもまた悪くない気がした。

激しい音が耳に届く。

左手の方から電車がやってくる。

端の方に立っていたわたしが、一歩前に進み出る。

誰もこちらを気にしている様子はない。

少なくとも強烈な視線は感じない。

早めに車両に入り、席を確保したい女子高生くらいにしか思われていない。

線路に飛び込んだときも、誰の呼び止めるような声も聞こえなかった。