「どうしてそんな驚いてるの?大学の夏休みって早く始まるんだよ」

それはわかっている、わかっているけど、わたしが気になったのはそこじゃない。

「じゃあ、どうして海斗くんにまだ会ってないんですか」

「その前にやるべきことがあったからね。弟の会話で有利に立つために莉子からいろいろな情報を得ることがひとつ、そしてもうひとつは彼氏に会うこと」

「彼氏?」

「そうだよ。わたし、こっちに彼氏がいるの。でさ、まずはその彼との時間を楽しみたかったのよ」

知らなかった、そんな人。

優愛さんに彼氏がいたなんて。

「じゃあ、この一週間は彼氏の家にいたということですか」

「そだよ。あ、でもこれはまだ弟には秘密ね。突然会わせてびっくりさせるつもりだから。莉子には今度、紹介してあげるから」