そう、海斗くんのことが心配なら、すぐに会いにいけばいいだけのはず。

「あれは、わざと」

「わざと?」

「そ。かわいい弟がびっくりするところを見たかったの。それであえて遠くにいるよ、って演出をしたんだよね」

そういえば、優愛さんはこういう人だった。

イタズラ好きで、とくに海斗くんをからかうことを趣味にしていたような人。

「もちろん、爆弾とかウイルスは気になってるけど、正直そこまで不安は感じてないんだよね。むしろそういう状況を利用すれば弟にインパクトを与えられるような再会劇を演出できるんじゃないかって考えたの」

でも、待って。

ひとつおかしなことがある。

わたしはこれまで、優愛さんとはこの時期には一度も会っていない。

もし帰省していることを知っていたら、今回の計画は浮かばなかった。

「優愛さんはいつ戻ってきたんですか?」

「一週間くらい前かな」

「一週間前?そんな前にですか?」