「ゆ、優愛さん?」

「そうだよ。すぐにわからなかったかな?」

優愛さんの外見には確かにちょっとした変化は起こっていた。

素肌に近かった顔はファンデーションでうっすらと輝き、目も大きくなっている。

なにより髪の色が派手な金髪へと変わっていることに、わたしは驚いた。

「普段はもっと地味なんだよ。これは夏休み限定のやつね」

優愛さんは自分の髪をつまむようにして言った。

「え、でも、どうしてここに?」

わたしは混乱していた。

ここに優愛さんがいる理由がわからなかった。

「もちろん、帰省よ。夏休みを利用して帰ってきたのよ」

「だ、だってさっき、海斗くんと電話をしてましたよね」

「うん。したよ」

「おかしい、ですよね。帰ってきてるなら、わざわざ電話なんかする必要ないのに」