「ウイルスの流出事件なんかもあったよな。しばらくはこうして部屋でのんびりする毎日が続くのかな」

「犯人が捕まるまで、どこかに避難するのもありだと思うけど。例えばお姉さんのところとか」

「そうだな。それもいいかもしれないな。うちの親も似たようなことを言ってたし」

わたしはホッと胸を撫で下ろした。

とりあえず、望みの方向に進んでいる。

まだまだこの先はわからないけれど、とにかく第一関門は突破した感じだった。

「莉子のほうはどうするんだ?夏休みの予定とかあるのか?」

「親の実家に帰省するかも。こっちにいるのはちょっと怖いから」

「それがいいかもな。しばらく会えなくなるけど、この状況なら仕方ないよな」

「うん。海斗くんが戻ってくるころには事件も収まってるかもしれないしね」

そのとき、海斗くんの携帯が鳴った。

横で会話を聞いていると、どうやら相手はお姉さんの優愛さんらしい。