「そうだけど」

「突然の電話に驚いているかもしれません。しかし、落ち着いてください。今回連絡をさしあげたのは、あなたにあるお願いをしたいからです」

「お願い?」

「はい。わたしはある組織に所属するエージェントです。いま国家を揺るがすような重大な仕事に携わっているのですが、それに協力をしていただきたく連絡をさしあげた次第です」

「え、なにそれ」

「とりあえず話を聞いてください。電話を切るのは、それからでも遅くはありません。このような言い方はしたくはないのですが、ここでの対応を誤れば、あなたの安全を保証することはできないのです」

「……組織って、なんの」

「残念ながら、それについては明かすことはできません。そのほうがあなたにとってもメリットがあると思います。こちらに入り込みすぎますと、いろいろな危険も付きまといますから」