この人が爆弾魔でないことは確か。

免許証を偽造するとは思えない。

でも、どこかには繋がりがあるはず。

加々美春樹という犯人と佐伯さんの間には何かがあるはず。

「……SNS」

そう、SNSだったら。

むしろこれがきっかけだったら?

爆弾魔である加々美春樹さんは、この街に住んでいるだろうSNSをチェックしていて、そこからちょうどいい感じの場所を探していたら。

正確な場所がもしわからなくても、DMで聞けばわかるはずだし。

自分もそこで写真を撮りたいんですけど、どこなんですか、とか。

じゃあ、やっぱり本物の爆弾魔は前日に爆弾を置いたってこと?

佐伯さんのSNSを見たあと、ここをターゲットに決めた。

それじゃ、遅すぎる。

とてもじゃないけど、間に合わない。

「ぼくにはもう、用がないよね。それじゃあ」

そう言って彼は恐る恐るわたしのほうに近づいてきて、免許証を奪い取るようにして立ち去った。

ひとり残されたわたしは、しばらくそこから動くことができなかった。