「落ち着いて聞いてください。わたしは警察ではなく、あなたの敵でもありません。あくまでも依頼したいことがあるだけです」

「い、依頼?」

声が震えている。

体の半分はすでにドアのほうに向かっていて、いつでも逃げられるような体勢になっている。

「あなたのことはすでに調べはついています。名前は加々美春樹さん。市内の大学に通う学生で、一連の爆発事件の犯人ですね」

「ば、爆弾?」

加々美さんの緊張感がより増したのが伝わってくる。

わたしが偶然ここに居合わせた訳ではないということがわかり、混乱に拍車がかかっているに違いない。

ここからが本番。

どこにでもいる普通の女子高生なら、相手にはされない可能性がある。

特別な役を演じきらないと。